動き出した、君の夏
『っ!!』
「?どーしたよ?」
『なっ…何でも…』

瑞希に顔を覗き込まれた

瑞希には言わなかったけど、今、この瞬間で、幸せ絶頂になりました
ホームベースに帰ってきた夕が、ベンチに戻らずに何きょろきょろしてるんだろう…と思っていたら
夕が、何かを捕らえた
あたしだった
目が合って、ビックリしていると、あたしに向かって


確かに

決勝の熱気の中で
こんなに人が居る中で、確かに夕の瞳があたしを捕らえていた

その、女子ファンを作る思いっきり幸せそうな笑顔を向けて
小さくピースをした

『……ぁ…』

手を振り返そうとしたら、もう一度ニカッと笑ってベンチに戻っていった

『…ファ…』


『ファイトーーーーッ!!!!』

思わず口に両手を当てて、応援団にも負けないくらいの大声を張り上げた

『S校、ファイトーーッ!!!!』

周りの何人かが、あたしを振り返った
瑞希も、あたしの突然で思い切った行動にビックリしてた


構うもんか!!

【春の旋風】に、エールを送るんだから!!!!
< 96 / 273 >

この作品をシェア

pagetop