新選組と最強子供剣士
「餓鬼に救ってもらおうなんて思っていない」


「じゃあ、なんで‥‥‥!?」


「わしはな、自分の命より、この新選組の未来の方が大事だ」


「‥‥‥どうでもいい。僕は帰る」


「小僧、わしはな、芹沢鴨であり芹沢鴨でないんだ」


その言葉に、部屋を出て行こうとした足が止まる。


振り返り、芹沢さんをジッと見つめた。


「‥‥‥わしは、4年前に芹沢鴨という名前の人物になった未来から来た者だ」


「!」


言葉が出ない。


こいつは、何を言っている?


「4年前、死んだと思ったその時、わしは芹沢鴨という人物としてこの時代に立っていた」


「なっ‥‥‥!?」


「わしは平成24年からこの時代に来た者。職業はただの剣道の先生だがな」


「はぁ!?」


「まぁヤクザの若頭をやっていたが」


「ヤクザの若!?」


平成24年て‥‥‥‥


嘘はついていない‥‥‥はず。


というか、こんな嘘つくはずがない。


もともと芹沢さんは知らないはずだし。


「な、なんで僕に話したの?」


「そりゃあ、こんな真実をずっと抱えていたんだ。誰かに話したくもなるだろ」


「そ、そりゃあそうだけど‥‥‥‥」


「それに、すぐわかったからだ。小僧がこの時代の人間ではないことはな。もう散る命だ。話しても損はしないだろう?」


「う、」


まさか、芹沢さんがこの時代の人間じゃないなんて。


てか4年もここにいんのかよ。


なんか頭痛くなってきた。


「もういい。帰るよ」


溜め息を1つつき、芹沢さんに背を向ける。


「小僧」


「なに?」


「邪魔はしないでくれよ」


「‥‥‥‥わかってる」


その言葉を最後に、僕は八木邸を出た。




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