新選組と最強子供剣士

隊士はうつ伏せで倒れている芹沢を抱き上げる。


そして絶望を露にした。


目を閉じ、どこか穏やかそうな顔で動かない。


死んでいる。


確信し、隊士は静かに涙を流した。


「‥‥‥」


「っ!剣壱、来るな!」


足音が聞こえ、とっさに隊士は声をあげた。


子供が見ていいものではない。


だが、少年は部屋に入った。


「‥‥‥死ん、でる?」


掠れた声で、少年は聞く。


隊士は空っぽの少年から目を反らし、ただ顔を歪めただけだった。


「剣壱」


「‥‥‥」


「頼む、教えてくれ」


「‥‥‥」


「何を、見たんだ?」


沈黙が漂った。


大雨と、血と、嫌な空間。


隊士の額から首へと汗が流れる。


しばらくして、少年は口を開いた。


「黒い人」


「黒?」


「2人いた。芹沢さんを斬った」


「っ!」


「僕、動けなかったんだ」


少年の右目から、一筋、涙が静かに流れた。
< 400 / 416 >

この作品をシェア

pagetop