琥珀色の王太子様に愛されすぎて困ってます!
貧乏伯爵令嬢は兄の姿に言葉を失う。
「あの人が・・・お兄様・・・?」

私の記憶の中にいるお兄様とは、全く違う風貌の男。
服もボロボロ、髪も髭も伸びっぱなしのその男は、行き交う人々に恵みを乞い頭を下げ続けています。


居ても立っても居られなくなり、その男の元へと駆け出しました。
リューイ様とサイラス様も慌てて私を追うように走り出します。



「・・・・お兄様・・!!」


目の前に立つと、そう一言声を掛けました。
その声に、頭を下げていた男の身体が一瞬ビクッとなり、その後ゆっくりと顔を上げました。

伸びきった髪の毛の後ろから見える瞳。
その目を見て、私は確信しました。


ヴィード・・・お兄様・・・・。



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