帰り道



化粧を簡単にしてお弁当を鞄に詰め込んでさっさと家を出ると隣の家から拓哉が出てくる。


「あれ?もう行くんかよ?」


「あ‥うん、まぁ」


さすがにとある風紀委員さんに見付けてもらうために早く家を出てますなんて言えるわけもなく言葉を濁す。



「今からお前ん家戻ろうと思ってたのにな。」


「え、あ、ごめんね」


それだけ言うとさっさと立ち去ろうとする。





「あ、待てよ。せっかくだから一緒行こうぜ。」


「‥うん」


あまり拓哉と登校してるところとかハルに見られたくないんですけど。



「後ろ乗れよ」


ひきつった笑顔を浮かべるあたしに気付きもせず拓哉は自分の自転車の後ろを指差しながら言う。


けど‥そこって高島さんがいつも乗ってたとこよね。


「あ、えっと‥う、運動不足だから歩きたいし、いいよ」


無理矢理理由を探して言うと拓哉は爆笑しながら


「そりゃお前は運動不足かもなぁー!!おし、俺も付き合ってやるよ」


と自転車から降りて自転車を押しながら隣を歩き出す。


まぁ なんとか成功?


なんとなく高島さんの場所って感じがして座りたくないと思ってしまった。


ごめんね 拓哉。


あたしはそんなことを思いながら登校した。
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