帰り道
手と手



アラームの音で目が覚める。


時計を見ると07:00。


1回目のアラームで目が覚めるなんて珍しい。


そういえば今日は拓哉がいるんだっけ‥。


部屋着を脱いで制服に着替えを済ませて下に降りて居間に行くと


「おはよう」


やたら爽やかな笑顔で挨拶をしてくる拓哉。


拓哉は昔からあたしとは違って朝が早かったっけ。


「おはよ」


低血圧のせいでテンションが全く上がらないあたしはいつもより低い声で挨拶を返す。


「ぶっ!!声低っ」


「うるさい」


「つーか、起きるん早くね?お前昼まで全然起きなかったじゃん」


そうか。拓哉はあたしが早起きしてるの知らないのか。


「んーまぁ、都合がありまして。あとお弁当作ってんの」


「へー。でも凛の母さんさっき金置いてってたけど?」



今日はもう行ったのか。ほんと朝から忙しい人。



「うん、それ貯めてんの。」


「うわ、ずりぃー」


「でも毎日お弁当作るのもダルいよ」


「そーだよなぁ」


お弁当を作り始めるあたしを見て拓哉は立ち上がる。


「凛、俺ちょっと家帰るな。制服着てくるわ」


「わかったぁ」



拓哉が出て行ったのを耳で確認してあたしは急いでお弁当を作りあげる。
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