帰り道
先生の話も右から左へと流れていく。
これじゃどんどん成績下がっちゃうな。
お母さんに怒られちゃうかな。
でも初めてなんだ。
こんなに何も手につかなくなるような恋は。
それなりに付き合った人は何人かいたしもちろんそれなりの経験もある。
だけどハルは何かが違う。
ハルがあたしを変えたんだね。
ハルがあたしを笑顔にするんだよ。
涙もそりゃたくさんあるけどそれもハルがくれた感情のひとつなんだよ。
あたしが歌を歌うのはあたしという世界を、あたしの生きる意味を作り出すための場所だった。
生きるのが下手で不器用なあたし。
その分歌にいろんな感情や表情を込めて生きてきた。
歌ってるときだけはあたしはあたしを好きになれた。
本当はお客さんは歌を通してあたしの存在を肯定してくれるものでしかなかった。
でも満たされていた。
歌を歌うときは弱いあたしも強くなれるような気がしてた。
ただそれだけだったのに。