帰り道
あの屋上で抱き締められた日からハルは高島さんのことを話すことはなかった。
あたしも聞きたくないから聞こうとはしなかった。
けれどただなんとなくだけどハルをいつもより近くに感じてた。
さっきくれた言葉とか歩く距離感とかハルの温かい手がいつもどこか感じていた壁や距離を溶かすようだった。
正直あたしは嬉しくてたまらなくて浮かれていたのかもしれない。
ハルの穏やかな胸の音、忘れてなんかいなかったハズなのに。
「じゃあまた明日な」
「うん、気をつけて帰ってね。バイバイ」
「おう、おやすみー」
小さくなっていくハルの背中を見つめることはもう日課だった。
あたしはさっきの言葉を思い出し幸せに浸った。
いつまでもこうして一緒にこの道を歩けるような気がしてた。誰のでもないハルの隣を独占できる気がしてた。
永遠なんてあるハズないのにあたしは信じたかった。
いや 信じていた。