目には目を、歯には歯を
後悔
「おはようございます、朝食の時間ですよ」

フェルナンデスの声が聞こえる。

ジャックは目を開けた。

まるで、昨日の朝の再現だ。

だが、ジャックは脱力しきっており、今朝は身体を起こすこともままならなかった。

「食べに行きませんか? ここの食事は特別に美味しいでしょう? ――あなたがたの為に、一流のシェフが腕をふるっていますからね」

その言葉に、ジャックは驚く。

「美味しい食事は、それだけで精神を安らげますからね。刑の執行中の方々には、味わって食べて頂かなくては」

微笑みながら言うフェルナンデス。

「ここから出る時は、健康な身体でキチンと出ていってもらわなくてはなりません。万が一があっては困るのでね。食事は生きる気力を左右しますからね」

食事が美味い理由が、そんなものだったとは……!?

「……キャサリンさんの遺体が、今朝見つかりましたよ……ずいぶんと酷い殺され方をしていたようでした……」

沈痛な面もちでいうフェルナンデス。

「あなたには、よくおわかりでしょう?」

そう言うと、ジャックに手を伸ばした。

「さぁ、食事に参りましょう。体力を付けて頂かなくては。……あなたは、おそらく明後日まではここにいるのでしょうからね」


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