三日月姫
「あの二人はずっと仲が悪いのよ〜」
そ、そうなんだ…
『はぁ、失礼致しました。本題に入ります。美月様、今すぐにアンリデットに行かなければなりません。』
い、いますぐにっ!?
まだ…お母さん達と離れる覚悟が…
『お願いします。時間がないのです。』
「美月、行きなさい」
「お母さん…」
「三月ならやれるぞ、俺達の子だもんな。」
「…うん。私行く…!」
ここまで来たらやらなきゃ!
女がすたるもんね!
『覚悟が決まったようで嬉しいです。では、私の手をとり、いいと言うまで目を閉じてください。』
言われたとおりに、手を取り目を閉じた。
不安もある、まだ話を聞いただけだから実感がわかないけど…
私なら大丈夫。大丈夫だよ。
そんな…確証のない言葉だけど、これで私は勇気が出た。
「行ってらっしゃい、美月」
…いってきます。
突然、目を閉じているにも関わらず白い光が周りを囲んだような気がした。
風が下から舞い込み、私の胸ぐらいまである髪をゆらした。