恋する時間を私に下さい
「…イヤです!」
頑として彼女は言い張った。
震えてる背中越しに見てたコウヤの顔が笑う。
その顔は薄気味悪く、狂ってるようにも見えた。
(…一番マトモな奴だと思ってたのに…一番歪んでたのか……)
ぞっとするような寒気を覚えた。
コウヤは刃物を振りかざしたまま、彼女に一歩近づく。
「…コウヤ!よせっ!」
ありったけの力を振り絞って叫んだ。
コウヤの顔が、悲しそうに歪んだ。
「…やっぱり…そうだったんですね…」
ふっ…と微笑んだのを最後に、表情が消えた。
振りかざされた刃物から彼女を守るように背中を押し倒した。
床に倒れ込んだ彼女に構わず、刃物は降ってきた。
「やめてぇぇ…!!!」
泣き叫ぶような声がして、彼女が俺の上に覆い被さった。
ドス!…という鈍い刃音が耳元でした。
パラリ…と髪が落ちて、真っ赤な血が飛び散った。
白い顔をした彼女が…俺を見てる。
ホッとしたような表情をして、ぽそり…と呟いた。
「よかった…」
力尽きるように目を閉じた。
パタリ…とうつ伏せたシーツの上に、散らばった彼女の髪の毛が伸びる。
その隙間を縫うように、赤いシミが広がり始めた。
シミは一ヵ所に大きな溜り場を作り、それはじわじわと大きくなっていく。
目の前に伏せてるヤツの髪を触った。
指先についた真っ赤な血液に、体の芯が凍った。
頑として彼女は言い張った。
震えてる背中越しに見てたコウヤの顔が笑う。
その顔は薄気味悪く、狂ってるようにも見えた。
(…一番マトモな奴だと思ってたのに…一番歪んでたのか……)
ぞっとするような寒気を覚えた。
コウヤは刃物を振りかざしたまま、彼女に一歩近づく。
「…コウヤ!よせっ!」
ありったけの力を振り絞って叫んだ。
コウヤの顔が、悲しそうに歪んだ。
「…やっぱり…そうだったんですね…」
ふっ…と微笑んだのを最後に、表情が消えた。
振りかざされた刃物から彼女を守るように背中を押し倒した。
床に倒れ込んだ彼女に構わず、刃物は降ってきた。
「やめてぇぇ…!!!」
泣き叫ぶような声がして、彼女が俺の上に覆い被さった。
ドス!…という鈍い刃音が耳元でした。
パラリ…と髪が落ちて、真っ赤な血が飛び散った。
白い顔をした彼女が…俺を見てる。
ホッとしたような表情をして、ぽそり…と呟いた。
「よかった…」
力尽きるように目を閉じた。
パタリ…とうつ伏せたシーツの上に、散らばった彼女の髪の毛が伸びる。
その隙間を縫うように、赤いシミが広がり始めた。
シミは一ヵ所に大きな溜り場を作り、それはじわじわと大きくなっていく。
目の前に伏せてるヤツの髪を触った。
指先についた真っ赤な血液に、体の芯が凍った。