恋する時間を私に下さい
(あれ…?どうしたんだろう……一体……)

さすがにおかしく思いだした。
過去の思い出に浸ってたけど、今はそれどころじゃない気がする。

『OーGATA図書館』のドアが開かない。
それは、あの頼三さんの入院以来になる……


(…まさか。礼生さんの具合が悪い……とか?)


ルナが食べさせたラーメンやお弁当が頭に浮かんだ。
食中毒って何時間くらいでなるんだっけ…と考えてたら、ケータイが鳴りだした。


バッグから取り出して番号を確かめる。
見たことないナンバー。
一体、誰……?



「…もしもし……」

恐々…と出てみた。
知らない人っぽかったら切ればいい。

「もしもし⁉︎ リリィちゃん⁉︎ 」

「……その声…トドロキさん?」

驚いた。
礼生さんのアシスタントから電話が入るなんて、初めてだから。


「どうして、トドロキさんが私の番号知ってるの⁉︎ 」
「プロフの交換したじゃん!」

「あ…そうか…」

すっかり忘れてた。
アラシさんとトドロキさんとだけ、プロフ交換したんだった。

「ねぇ、リリィちゃん、今、何処にいんの⁉︎ 」

妙に焦ってるみたいだ。

「『OーGATA図書館』の前。…それが変なのよ。開館時間過ぎてるのに、シャッターも上がらないし、裏口のドアも鍵がかかったままなの。こんなこと初めてで……礼生さんに何かあったんじゃないかと思ってたとこ」

説明すると、トドロキさんの方から「そっちもか…」って呟く声が聞こえた。
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