present box
「なぜ言わなかった?」
こちらをじっと見たまま、聞いてくる。
「さぁ、特に理由はないわ。それで、こちらの質問にも答えてほしいのだけど。」
だいぶ落ち着いてきた。
ただ泣き叫ぶだけの女とは思われたくない。
そんな思いも込めて、キッと見る。
私の視線に気づいたのか、ふっと笑う気配があった。
「そいつは失礼した。我が名はバステト。巷では、怪盗と言われる職業をしている。」
以後、お見知りおきを、と言いながら立ち上がり、こちらに向かって歩いてくる。
私のところまであと5歩、と言うところまで近づいたとき。
雲が動き、月明かりが部屋の中へと入ってきた。