超能力者も恋をする

「すみれ！」
声が私を呼ぶ。
思わずすみれはその声に応えた。
「ここよ、私はここっ！」

「見つけた、おいで、すみれ。」
声がすぐそばから聞こえたと思ったら目の前がぱっと眩い光に包まれた。
そしてそこから自分に向けられる一本の手が見えた。

(この手をとらないと…！)

直感でそう思ってすみれはその手をギュッと握った。
握られた手にグッと引っ張られて、気づいたらすみれは声の主に抱き締められていた。
きつく抱き締められていてすみれの顔は声の主の胸に押し付けられていて顔を見る事が出来ない。でもこの人の香りはすみれをとても落ち着かせる。

「すみれ、もう大丈夫だよ。」

そう、声の主が優しく告げる声が上から降ってきた。

光が一層強くなって眩しさに目が眩む。
そしてそのまま2人は光の中に入っていった。