超能力者も恋をする

「よしわかった!いきなり見つけると不自然だから、俺がさりげなく探してみるから、ちょっと見てな!」

ニッと笑って先輩はカウンターの方へ向かった。

「マスター、案外自分だけだと同じ所ばっかり探しちゃうから、俺も探すの手伝うよ!」
そう言うやいなや、ズンズンカウンターの中に入って探し出し始めた。最初は戸棚から離れた所で段々と戸棚に近づいて行った。確かにさり気ない感じで探している。

戸棚の隣の段ボールに手を伸ばす。
思わずすみれも手を握って、ありますようにと祈った。

ゴソゴソと段ボールの中を探す先輩。

「…あった!マスターあったよ!」
大きな声が店内に響く。

(良かった〜…。)
確信は持ててなかったので見つかった事に安堵する。

「賢人君、どこにあったんだ?!」
マスターが驚いて先輩に尋ねた。
「この段ボールの中に入ってたよ。中に入っちゃった後にそのまま蓋しちゃって見つからなかったんじゃない?」
「……。あっ!そう言えば、一度外してその戸棚の上に置いたんだよ。」
マスターが思い出したように手をポンっと叩いた。
恐らくそのまま置き忘れて、何かの拍子に段ボールの中に落ちてしまったのだろう。

「…良かった。」
手の中に収まった時計を大事そうに見つめながらマスターが呟いた。

「マスター、見つかって良かったね!」
「うん、本当に良かったよ。賢人君、ありがとう。」

笑顔でマスターがお礼の言葉を言った。
手のひらに在る時計を目を細めて大事そうに見つめる。本当に大事な物だったと分かる。
そんなマスターの姿を見ると、見つかって良かったと心からそう思った。
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