未知の世界3
帰国前日、ニックと今度は一緒に仕事することを約束して、私たちは別れた。
ニックからは何度も好意を持たれたけど、結局、私の気持ちは常に幸治さんへ向いていた。
研修中、全くと言っていいほど、幸治さんとまとも会話はできなかったけど、それでも幸治さんとこれから堂々と付き合うことかできると思うと、焦りは全くなかった。
そして、ニックとはずっと友達でいたいと思えた。
帰国する日、幸治さんは仕事のため、お父さんに診察を受けた。
飛行機に乗る前に、最後の診察。
「かなちゃん、幸治が仕事だから、お父さんに診させてね。」
私はいつもの通り、お父さんの聴診を受けた。
いつもより何だか念入りな気がした。
肺よりも、心音をやけに丁寧に聞いている。
きっとこれから長旅となるからだと思う。
それにしても長いな。
お父さんが聴診をやめ、私を見る。
「かなちゃん、最近体調はどうだった?
喘息の発作はなかった?
そのほかに、胸の痛みなんかはなかったかの?」
あったよ。けど、そんなこと言えない。
これから幸治さんのいない生活が3ヶ月も待ってるんだもん。
お父さんたちを心配させられない。
「最近は順調です。」
「そうか、もし何かあったら、必ず病院に行くんだよ。
私達に電話もしてきてね。」
どことなく不安そうなお父さん。
何か私の体に、良からぬことが起きているのかもしれないって思った。
そして、私は、たけるを始めとする、一緒に研修した日本の学生と帰国した。