男装騎士~それから~
試験が終わり、ひとまずカイさんになった受験者たちはそれぞれ帰路につく。
静かになった会場に残ったのは、私とカイだ。
皆は、気を利かせてどこかに行ってしまった。
「一度も、連絡くれなかった」
「それくらい、本気でやらないといけないと思った。お前に、甘えずにちゃんとここまで来たかったから」
「・・・最初から、考えてたの?」
「ああ。騎士の任を解かれて、自由に生きていいと言われて。自分の意思でここに戻ってこようって」
カイの意思で。
きっと、昔のカイなら考えられないことだよね。
「カイ・・・」
「俺は、ユキが好きだ。本当は、そんな気持ちいだいちゃいけないってわかってるけど。それでも、止められなかった。だから、もう、開き直ることにしたんだ」
「開き直るって・・・」
「好きなんだ、ユキ。お前には、俺の側で笑っていてほしい。俺がユキを護りたい。もう、傷つけないように、泣かせないように、俺がユキを護るから」
真っ直ぐ紡がれる言葉。
それはカイの本気が詰まっていて。