男装騎士~それから~
その日は、俺のほかに5人の騎士が付き添っていくことになった。
俺は、ユキと共に馬車に乗り込み、後の騎士は馬で前後についていく。
「マリア姫に会うの、楽しみ」
「・・・ああ」
「舞踏会を開いてくれるんだって!ダンスの練習したけど、うまく踊れるかしら」
「そうだな」
楽しそうなユキを尻目に、俺は上の空な返事を返す。
ユキの笑顔を見ると、心が揺るがされる。
同じように笑って、楽しむことを望んでしまう。
許されようとしてしまう。
癒されて、しまう。
「・・・なぜ、俺を共に選んだ」
「え?」
「お前が選んだと聞いた」
「レオの外交に人が必要って言ってたし。護衛隊の中から割ける人材は一人だって言われて」
「別に俺でなくてもよかった」
確かに俺は、レオさまの外交でできることなんてないのかもしれない。
それでも、ここにいるよりずっといいと。
「それに・・・。カイは、嫌かと思って」
「は?」
「レオたちといるの。いやかと思って」
なにを言い出す?