あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
10
ぐっ~。

私のお腹が鳴った。

身体を少し離し、二人で顔を見合わせる。

笑いがこらえられない佐川さんと真っ赤になっている私。

「確かにお腹空いたよな。」

結局笑いながら、佐川さんにそう言われた。

「でも買い物もして来なかったし…。」

透さんに私のアパートから真っ直ぐに送ってもらった事を思い出す。

時間はもう9時。

「うちにはほとんど何もないからな。」

苦笑いをしている佐川さん。

こんな事なら私のアパートの冷蔵庫の中の物を持ってくれば良かった。

「今日は食べに行くか。」

佐川さんの言葉に私はうなずく。

「このまま離したくないんだけどな。」
< 107 / 400 >

この作品をシェア

pagetop