あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

「行くぞ。」

私をチラリと見て佐川さんは歩き出す。

私の返事なんて要らないようだ。

私は慌てて、作業服注文の一覧表を持ってその後を追う。

「まずは営業課に行こうか。」

佐川さんは2階にある営業課の方に、既に向かいながら言う。

「重たくないですか?」

階段を上がりながら、私は聞いた。

私ならいっぺんに2階に持っていく事はとても無理だ。

「俺は男だよ。」

そう言って階段を上りきった時に、私は営業課のドアを開けるために佐川さんの前に出た。

「おお、ありがとう。」

佐川さんが空けたドアから営業課へ入った。

「何かありましたか?」
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