あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「元気だった?」
恐る恐る私は聞いた。
「ええ、萌香も?」
有美の方も気まずそうに私に聞いてきた。
学生時代いつも一緒に居た有美。
でもあの卒業式以来疎遠になってしまった。
あんな事が無ければ、今も仲良くしていただろうか。
「ねえ、透。お邪魔しちゃ悪いから。」
遠慮がちにそういう有美に不思議そうに透さんはうなづく。
「こいつ誕生日が近いから、今からプレゼント選びだ。」
そう透さんが笑った。
「私達は今から下の階に下りていくところなの。ねえ、郁也。」
私はそう言いながらぎこちなく郁也を促す。
「ああ、ちゃんと話し合ったんだな。呼び方が変わっている。」
そう笑う透さんに、郁也がバツが悪そうに視線を私に向ける。