あなたに包まれて～私を分かってくれる人～

「まあ、いい。」

少し心配そうに郁也の顔を見上げた私に、郁也は気が付いたみたいだ。

「今回は良いから、あんまり山根と二人っきりにならないように。」

そう真面目な顔をする郁也の様子に、私はつい笑ってしまった。

「どうしたの？普通に話をしていただけだよ。」

「萌香はちっとも分かってない。」

郁也のムスッとした表情は少し怖い。

「前にも言ったが、山根は萌香の事が好きなんだぞ。絶対隙を見せるなよ。」

私はイマイチ納得が出来なかった。

そんな様子を私に見せた事がない山根さん。

郁也はどうしてそんなに気にしているんだろう。

そう聞きたかったけど、今の郁也には聞けない。

これ以上郁也のご機嫌を損ねたくないから。

「分かっているから。私を信じてよ。」

いつものようにそう言うだけの私。