あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
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「こんばんは。」

何となくよそいきの声を出しながら、いつもの通勤着と違う雰囲気の小夜子さんが事務所に入って来た。

「やっぱり小夜子さんっておしゃれですね。」

私は小夜子さんに言った。

とても60代には見えないすらりとした体形にパンツ姿がよく似合う。

上品なカットソーは少し派手目の色だけれど、全く違和感を感じさせない。

「ありがとう、相原さん。」

私にそう言いながら、小夜子さんは奥に居る社長に目線を送る。

「もうそんな時間か。」

仕事をしている手を止めて、チラリと小夜子さんを見た社長。

そして満足そうににこりと笑った。

「今日も一段ときれいだね。」

社長が小夜子さんにこんな風に言っているのを初めて聞いた。

私は社長と小夜子さんの顔を交互に見る。

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