あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
23
私達は郁也の家に入り、定位置となったソファに座った。

「話してくれる?」

郁也のその言葉に,私は大きく深呼吸をした。

「私と有美は大学の入学式で知り合ったの。同じ学部でね、とっても気が合って、それからずっと一緒にいたの。そのうちにね、同じ学部の3人の男の子と仲良くなってね。結局この5人でいつも一緒に居る事が多くなったの。そのうちの一人が今日面接に来た篤弘…滝川篤弘だったの。」

私は郁也に両手を包まれながら、ゆっくりと話す。

「本当に学生時代の思い出には必ずこの4人が絡んでいたわ。海もキャンプもスキーも、どこに行くのも一緒だった。」

「うらやましいな。」

郁也が私の手に力を入れた。

「そのうちにね、有美と篤弘は付き合うようになったの。2年生の初めの頃だったかな。私はずっと有美の相談相手になっていたし、そんな有美に告白しろってけしかけたのも私だった。きっと有美の思いが篤弘に伝わらなかったとしても5人の関係は変わらない…、そう感じていたから。」

「へぇ~、今の萌香からはそんな姿は想像出来ないな。」

郁也はクスリと笑った。

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