あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
私も緊張し過ぎて、そんな事を言ってしまった。

「そうか、じゃあ、あれからあいつは現れないんだな?」

「あれからは一度も顔を合わせていないよ。」

ちょっと郁也の緊張が解けたような間を感じた。

「郁也、仕事は忙しいの?ちゃんと食事はしているの?」

私はついついそんな事を聞いていた。

本当はもっともっと話したい事があるのに。

「やっぱり専務という立場は半端じゃないよ。そっちに居た時は、社長や山崎さん、そして伊藤さんにどれだけ守ってもらっていたかを痛感しているよ。」

ちょっと弱々しげな郁也の声。

「でもな、ちゃんと鍛えられてもらったから、仕事は何とかこなしていっているよ。」

「良かった。」

思わず出てしまった私の声。

その後、少し沈黙が続いた。

「萌香。」「郁也。」

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