初恋マネジメント






「いい加減覚悟決めてください」


「だ、だってさあ、やっぱ怖いんだもん」


「怖いって何が?」




そりゃあ優花ちゃんがだよ。女子って怖いじゃん。



……って、ん、なんか違和感が……。


今の声、三橋くんだったか……?



ふと疑問に思って顔を上げれば、あたしの真正面にいつの間にか立っていた健太がしゃがみ込んで、目が合った。




「……やっ、ぎゃー! なんでいんの!?」


「紗奈に怖いもんなんかあんの?」




ほんといつの間に……!


パッと口元を手のひらで覆ったあたしを健太は訝しげに見て、三橋くんとお互いに挨拶を交わした。




「……あ、そうだそうだ、じゃあ俺、準備してきます!」


「え!? ちょ、待、三橋くん……っ!」




気を利かせたつもりなのかなんなのか知らないけれど、彼はさっさと立ち上がるとボールを持ってとっとと走って行ってしまう。


こちらに背を向ける瞬間、三橋くんの口角が僅かに上がっているのをあたしは見逃さなかった。


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