小さな恋の物語 *短編集*
「なさけないな、俺……」



 授業が終わり、1人で廊下を歩きながらポツンと弱音を吐く。



 なんであんなこと言ってしまったんだ、とかあんなこと言われても困るだけだよな、とか。



 思うことはいっぱいあるんだけど、後悔したところであの日の出来事は変えられない。



 今はただ、ちゃんと佐藤の気持ちを信じて待ってるだけしかできないんだ……。




 でも、受験で忙しい佐藤にアタックした俺って教師としてどうよ?



 「はぁぁ~……」と自然に出てくるため息をついてから、職員室に足を向けた。
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