小さな恋の物語 *短編集*
「辻井先生、お疲れのようですねっ」



 生徒の固まりから抜け出して歩いていると後ろから聞き覚えのある声がした。



「……鈴奈?」



「ふふっ、正解」



 振り向いてその人物を確認すると、俺のいとこである松井鈴奈[マツイスズナ]がいた。



「悟くん、相変わらずモテモテだねー」



「まあな。ってか学校では“辻井先生”だろ?」



 一応、学校では他人のふりをしてる俺たち。



 鈴奈と俺は昔からモテるからバレたらお互い色々と面倒だしな。
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