小さな恋の物語 *短編集*
「……っ! そ、それは……」



 びっくりして顔を上げた佐藤の頬がかすかに赤いのが分かる。



 ……あぁ、俺。期待していいのかな?




「大丈夫。あの子は俺のいとこだ。……それにあいつには最近彼氏もできたらしいし、心配することないよ」



「えっ、いとこ?」



 うん、と頷くと一気に緊張が解けたのかため息をついたのが分かった。




「じゃあ、あともう一つ」



 もう一つだけ。





「なんであそこにいたんだ?」



 これは一番聞きたいこと。
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