遠すぎる君
最後の努力
冬休みに入ってすぐ
年賀状を書き始めた。
数は多くないけれどすべて手書きにした。

受験することは未だに美幸と永沢くんと先生たちしか知らない。
だから当たり障りない内容で書き上げた。

遼にも書いた。
残りの3ヶ月。

このまま終わるのは嫌だった

家族も見るであろう年賀状には詳しくかけなかったけど
できるだけ今の気持ちを書いてみた。

『卒業までもう少しだけど
それまで仲良くしてね』

これが精一杯だった。


冬休みがあけて
私の受験勉強は佳境を迎えた。

受験は3月。

最後の追い込みのための
大手予備校の短期講習に行けることになった。

3学期の青蘭の授業はほとんど内容が希薄。
卒業式やそれにまつわる準備ばかり。

だから学校は休みがちになった。

必ず受からないといけないから
図書館や予備校に入り浸った。


遼から年賀状の返事は来なかった。
それが返事なのだと悟った。

それでも本屋で問題集をチェックするついでに
来月のバレンタインデー特集の本を本屋で立ち読みしたりした。

最後に
バレンタインデーに
きちんと話す。

そしてそれを本当の最後にするんだ。

彼が私と距離をあけてからサッカーに向き合ったように
私も彼ときちんと決別してから
受験とこれからの人生に向き合うんだ。


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