遠すぎる君
そのあと、いろんなお店を回って
一緒に永沢くんへのプレゼントを選んだ。

永沢くんは本が好きなのでブックカバーを手作りするらしく、手芸屋で渋めの色のフェイクの革布を選んだ。

私も岸田先輩に何か買うように勧められて、
手袋を編むことにして毛糸を買った。

「出来たら写メ送ってね~」
 
お互い約束して別れた。


美幸との繋がりは遼との繋がり。
どうしても遼を思い出す。

買った手袋用の毛糸だって遼が好きな濃い青色だった。

手袋を編んで私は岸田先輩に何を言うつもりなのか。
未だにハッキリしない自分の心に苛立ちを覚えて家に帰った。

そして、その日から一編みごとに遼への思いを断ち切る気持ちで編んだ。

そして、
この手袋が出来上がる頃、岸田先輩への恋心が出来上がってますようにと願いながら。
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