遠すぎる君
でも、結局クリスマスには会えなかった。

先輩のみならず高校三年生は最後の全国模試だったから。

やはり受験生にとっての冬休みは最後の正念場。
バイト三昧の私がなんら関わることは出来ない。

冬休みに入ってから喫茶店のバイトのシフトはら10時から4時まで。

まだ明るい道を帰っていく。

さすがの岸田先輩も最近はなかなか来ない。

「今日はお母さんも遅いし、寄り道しようかな。」

クリスマスを昨日終えた町は、すでに新年を迎える準備に入っているよう。
そして何処のアパレルショップもセール真っ最中。

繁華街の一画にかわいい雑貨屋さんを見つけた。

見た目より軽い白木のドアを押すと
「わぁ……」

すごく可愛い。
フランスやイギリスのアンティーク調の店内にうっとりする。

奥の方から女の子がキャッキャとはしゃいでいる。
「見てよ、可愛いねぇこれ。」

「えぇ……?まぁ……」

彼氏は照れてるようだ。遼みたい……

微笑ましくてそちらにふと視線を向けると

そこにいたのは、遼だった……

遼も店外へ出ようと、腕を引っ張る彼女を振り切ろうとこちらを向いた。

そして目が合った。

「……え…?」

遼は動きを止める。
それに気づいた隣の彼女は私と遼を交互に見て
「知り合い?」と聞いた。

「え?……はい…」

そして落ち着いてから
「久し振り……だな。」
と、挨拶してきた。

「……うん、そうだね。……元気そうね。」
それが精一杯だ。

「おう…」

いつもの彼の口癖。これが好きだったなぁ…なんて思いながら、私は気のない振りで店内を物色し始める。

彼女は怪訝な顔をしている。

どんなディスプレイを見ても、脳に届かない。
遼と横にいる女の子の姿が焼き付いているせいだ。

ひとつため息をついて、店内を後にする。
背中に視線を感じながら。

そして無事に表通りに出た時、
言いようもない虚しさに襲われた。
< 65 / 136 >

この作品をシェア

pagetop