裏ギフト
「あ、結香が来たよ!」


そう言ったのはつぐみだった。


見ると、前方から結香が歩いてくるのが見える。


そのカバンには昼間永遠からもらったクマが付いていて、あたしを更にイラつかせた。


調子に乗ってんじゃねぇよ。


心の中で悪態付きながら、1人で路地裏へと身を隠した。


「ねぇ結香、久しぶりに一緒に帰ろうよ。侑里は先に帰っちゃったけどさ」


結香に声をかけたのは初だった。


初はいやらしい笑顔を浮かべている。


1目見れば何か企んでいるとわかるのに、結香は何も気づかずに素直に頷いた。


しばらく歩いていると歩道の横に川が流れ始める。


流れは穏やかで、サラサラと水音を立てているが、お世辞にも綺麗とは言えない水だ。


「こうやって3人で帰るの久しぶりだね。侑里が先に帰っちゃったのが残念」


結香が白々しくそんな事を言っている。


あたしたちが一緒に帰れないのは、お前がいつも永遠と一緒にいるからだろうが。


そう言いたいのをグッと我慢する。


「そうだよね。どうせだから、どこか寄って帰ろうよ」


つぐみがすぐに結香を誘う。
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