裏ギフト
「いいよ。どこに行く?」


結香がそう言った時、初が「こっちだよ」と、結香の腕を強くひいた。


「きゃっ!?」


体のバランスを崩した結香が、ガードレールに体をぶつける。


その向こうは川だ。


「なにするの!?」


「それはこっちのセリフでしょ!?」


つぐみが怒鳴り付け、結香の背中をガードレールに押し付けた。


結香は上半身の背中側を川へ乗りだす形になり、青ざめる。


「ちょっと……冗談でしょ!?」


「冗談でこんなことするワケないでしょ」


初は笑いながらそう言うと、結香の肩をトンッと押した。


結香の体がグラリと揺れて、ガードレールを飛び越えた。


すぐに水しぶきの音がして、2人が大笑いしている声が聞こえてくる。


細い路地からその光景を確認したあたしはクスッと小さく笑い、歩き出したのだった。
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