裏ギフト
それを見て結香は更に悲鳴を上げ、半狂乱になって虫たちを机からはたき落して行く。


体が小さく弱い虫たちは結香の手のひらで潰されて、机の上は赤く染まる。


初とつぐみの笑い声は絶えず、結香の目には涙が浮かんだ。


「結香落着いて! ホウキとチリトリで掃除した方がいいよ」


結香が散々自分の手で虫を潰したのを確認してから、あたしはそう声をかけた。


結香の手のひらは真っ赤に染まり、虫の内臓や体の一部がこびりついている。


「手、洗っておいでよ」


優しくそう言うと、結香はようやく少し落着いたように立ち上がった。


フラフラとした足取りで数歩歩いた途端、結香はその場に膝をつき、そして嘔吐した。


汚い嘔吐音が教室に響き、あたしたち3人は顔をしかめた。


「ちょっと、汚いんだけど」


つぐみが結香をののしる。


「自分で掃除しなよ」


初がそう言い、2人は笑い声をあげながら教室を出て行った。
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