裏ギフト
「そういえば、3年生の奥田先輩とも付き合ってたって聞いたよ」


「え……奥田先輩と?」


つぐみの表情がすぐに変わる。


奥田先輩は校内でも人気のある生徒で、つぐみが密かに想いを寄せている人だ。


「この前の土曜日、一緒に帰っている所を見た子がいるんだって」


あたしはペラペラと嘘を並べる。


だけど奥田先輩は結香を特別視しているのは本当の事だ。


先輩の一方的な片想いだけどね。


「それって、結香は遊びで付き合ってたのかな?」


「わかんない。でも、仲のいい永遠の悪口まで言ってたんだから、遊びだった可能性もあるよね」


あたしがそう答えると、つぐみは唇をかみしめ下を向いた。


「奥田先輩ってファンクラブもある有名人じゃん。結香サイテー」


初がつぐみの怒りを代弁するようにそう言う。


「……あたしやる」


つぐみがボソッと呟いた。


「え?」


「あたし、結香のこと許せない。男遊びしてるって証拠を掴んで、全校生徒にバラまいてやる!」


興奮気味につぐみが言う。


その拳はギュッと握りしめられていて、怒りを感じた。


そうこなくっちゃね。


ようやくやる気を見せたつぐみに、あたしは微笑んだのだった。
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