裏ギフト
バラ撒き
それからあたしたちは、交代で結香を見張る事になった。


結香がトイレに立つと、誰か1人がトイレに行く。


移動教室の時は結香が机を離れたのを見計らってから、動いた。


その間暖は徐々に結香へ近づいて行き、挨拶程度はできるようになっていた。


だけど、暖と結香が2人きりになるのはまだまだ時間がかかりそうで、あたしは歯ぎしりをした。


「結香、今のところおとなしいね」


初が少しつまらなそうに唇を尖らせて言った。


結香を見張りながらもイジメを続けているから、結香の行動は日に日に少なくなっている。


暖がさっさと行動してくれないと、計画は台無しだ。


「結香が大人しいのはいい事だよ」


つぐみがそう言い上機嫌に微笑む。


そんなやりとりに痺れを切らし、あたしは立ち上がった。


「侑里、どうしたの?」


初がそう聞いてくるから「トイレ」とだけ言って教室を出たのだった。
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