裏ギフト
「きゃぁ!」


横から悲鳴が聞こえてきて、あたし、森永侑理(モリナガ ユウリ)は友人の築城ひなた(ツイキ ヒナタ)を見た。


ここは映画館で、今スクリーンではゾンビとなった男が女性を食べている所だ。


大音量のスピーカーからはネチョネチョと、血肉を食らう音が響いている。


「大丈夫?」


涙目になってスクリーンから目をそらしているひなたに聞く。


「だ……大丈夫だよ……」


そう答えるひなたの声は震えていて、とても大丈夫そうには見えない。


映画が始まってもの5分でこの様子じゃ、最後まで見れるかどうか怪しいところだ。


「空君、ちょっと外に出てくるね」


あたしはひなたの隣に座っている須増空(スマス ソラ)君にそう声をかけた。


空君はひなたの彼氏だけれど、スクリーンに見入ってしまってひなたの変化に気が付かない。


「ほら、一旦出るよ」


あたしは空君からの返事を待たず、ひなたを促して映画館を出た。
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