裏ギフト
永遠の言葉に驚いて目を丸くするあたし。


まさか永遠からそんな誘いが来るなんて考えてもいなかった。


「嫌ならいいけど」


「い、嫌じゃない!!」


「じゃぁ、着替えてくるから待ってて」


永遠はそう言い、食堂を出て行った。


あたしはその後ろ姿をポーッとして眺める。


永遠と一緒に帰れる。


「うそ……嬉しい」


思わずそう口に出る。


集団の仲間としてはよく話す方だけれど、一対一で帰った事はない。


嬉しくて、あたしの体はフワフワと浮いているような感覚だった。


永遠が来るまでに読み終えてしまおうと思った小説も、今はもう頭に入ってこなかった。


何度活字を追ってみても全く理解できない。


あたしは読書することを諦めて、本をカバンに入れた。
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