裏ギフト
「あたしに何か用事?」


鍵を開けながらそう聞く。


「あぁ。裏ギフトについてもう少し調べようと思って」


その言葉にあたしは翔真を見上げた。


長いまつ毛が風に揺れている。


「だったらネットカフェに行く?」


「は? パソコンは?」


「うちにはないよ」


「まじかよ。ネットカフェに行くにしても君はずぶ濡れだしな。しょうがないからまた今度にするよ」


そう言い、玄関を出る翔真。


「上がって行かないの?」


「もう用事はないから」


翔真はそう言い、早足で雨の向こうへと消えて行ってしまったのだった。
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