裏ギフト
「遅刻しないように早めに出て、宿直室を借りて寝てるんだよ」


「あぁ、なるほど。お父さんは?」


「死んだ」


躊躇なくそういうあたしに、翔真は少し驚いたように目を見開いた。


あれ?


あたし言ってなかったっけ?


「子供の頃?」


「うん。全然記憶にもないから寂しくもない」


「へぇ」


翔真は再びテレビに視線を向けた。


「翔真の家は? 外泊とか厳しくないの?」


「なんでそう思う?」


「だって翔真自身がすごく固そうだもん」


そう言うと、翔真は「失礼だな」と、笑った。


「違うの?」


「僕の家も片親なんだ。小学生の頃離婚して母親に引き取られた」
< 282 / 382 >

この作品をシェア

pagetop