今日も上からものを言う。
「君の唇、奪うからね?
息ができないくらいにめちゃくちゃにしてあげる」
私のサイドの髪を耳にかけてから、口元を寄せて言われた言葉。
髪を耳にかけたことによって、直に息がかかって思わず反応してしまう。
体が少し動いたのを見て、永瀬くんは楽しそうに笑う。
「僕はそれでもいいけどね」
本気か嘘か分からないようなことを言うから、どう反応すればいいのか分からない。
今分かるのは永瀬くんには言い返さない方が良いということと、私の顔がやけに熱いということだけだ。
「まぁ、感動の再会だし仲良くしようよ。
名前は?」
「……立花美桜」
「そ。仕方ないから憶えておいてあげる。
じゃあ僕は行くよ」
永瀬くんは私の頭をポンポンとして、怪しい笑みを浮かべこの場を後にした。