四色恋模様
夏色




『これより、第65回桜第一高校体育祭を開催します』




パチパチ、とまばらに拍手をする音がグラウンドに鳴り響く。





そう、今日は体育祭。


「あ〜やける〜」


私は腕をさすりながらジリジリと照りつける太陽を恨んだ。


「ね〜、日射し強すぎてきっと熱中症の人とか出ちゃうんじゃないかな…?」



ポニーテール姿の舞花が心配そうにいう。
この姿を見て倒れる男子がいなければいいけどね…。


「そうだね〜。いや、私熱中症で倒れたりしないかなぁ…」


リレーを棄権したい…。熱中症で倒れてリレーを棄権することはできないかな。



「えぇ?!ダメだよ。熱中症で倒れるなんて危ない事考えちゃ!」


本気で心配そうな顔して舞花は慌てて私の顔を覗き込んだ。


「冗談、冗談!大丈夫だよ、私倒れたりした事ないもん」


ガッツポーズをして笑うと舞花はホッと落ち着いたようだ。
私が倒れるなら舞花はとっくに倒れちゃってるよ。



「もう、驚かせないでね〜。そういえば、リレー頑張ってね!!」



「ゔっ」


そういえばからの話の展開が急すぎる…。


舞花はキラキラと眼を輝かせて私を見ている。


「やめて!そんな期待した目で見ないで!あれは桃の仕業なんだから!!」



ほんとありえない。桃ったら1番なんていいつつあとで聞くとそれは嘘だったなんて。






ーーーーーーーーー…


「は?!ちょっとどういうこと?マジで怒るよ?!」


1番でないと発覚したその日私は桃を壁に追いやっていた。

1番どころか3番以内にもはいってない!!

「落ち着いて〜。これには訳がちゃんとあるから」


「はぁ?!落ち着いてられるか!」


桃はいつも以上にのんびりと、そして柔らかい口調でまぁ、まぁ、と私をなだめる。


そんなので怒りが治るわけないでしょ!



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