狐と嫁と溺愛と
この屋敷、トイレまで遠いんだもん。



夜中に行きたくなったらヤダし。



それより…。



「今の人、誰かに似てる…」

「ジローだろ?」

「あっ、そうかも」

「腹違いの弟だからな」

「えぇぇぇぇぇっ⁉︎」

「知らなかったか?」



お父さんに兄弟がいたの⁉︎



そんなの聞いたこともないよ‼︎



あたしの叔父さんってことじゃない⁉︎



「リンには、この屋敷の管理を任せてるんだ。蘭月の上司ってとこだな」

「今まで見たことなかったよ⁉︎」

「タマキの家出のせいで俺の父に呼び出されてたからな。タマキの世話係みたいなものだし」

「お、怒られたのかな…」

「たぶんな。生きてるとこを見ると、腕の1本ぐらいで済んだんだろ」

「は…?」

「あぁ、再生能力があるんだ、リンには」



いやいや、そういうことじゃなくて。



う、腕の1本って、普通の会話で当たり前のように出てこないでしょ?



「怖すぎる…」

「俺も再生能力あるけど?」



やっぱり、妖と人間は分かり合えない部分があると思うよ…。



うん、ご両親に挨拶に行きたくないね‼︎



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