狐と嫁と溺愛と
顔が熱いよ…。



そっと首筋につけた香水。



柑橘系の爽やかな匂いがする。



「よし、出発〜」



満足そうな彼はシートベルトを締めて、車をガレージから出した。



ダメだ。



やっぱり緊張する…。



「ナナちゃんは高校2年だったよね?」

「あっ、はい」

「学校は楽しい?」

「楽しい…です…。友達がいるので…」

「そっか。その友達は、結婚のこと知ってるの?」

「知ってます。言わずにはいられなかったというか、父のせいであたしの人生最悪なことになったって愚痴を聞いてもらったり…」

「最悪ね」



完全に言っちゃいけないことを口走ってしまった‼︎




「そ、それは結婚相手が小太りの変態的なオジサンを想像していたからでっ‼︎」

「ふぅん、変態か」

「華山さんのことを言ってるわけじゃないっ、です…」

「男なんて誰だって変態だよ。俺も、変態かもね?」



そんな色っぽい顔で変態とか言わないでください。



これでも結婚相手がイケメンで喜んでるんだから。



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