狐と嫁と溺愛と
反省する…。



ポロポロ涙を流すナナの頭を撫でた。



「何したの…?なんで痛いの…?」

「俺が噛んだから…?強く噛みすぎて…ごめんね…」

「あっ、それでか…」



なに納得してるの⁉︎



普通、怒るでしょ…。



薬を置いていったじいちゃん先生に頭を下げ、ナナとふたりの空間。



「ごめん、本当に…ごめん…」

「いいよ、別に。超痛かったけど…平気」

「怒れよ…。俺、ナナを傷つけた…」

「どうして?あたし、大河さんにつけられる傷ならイヤじゃないもん」

「なんでそう言えるんだ…」

「愛されてる実感?噛まれるのも愛されてる気がするし。喰べられたら、大河さんの一部になれるんじゃないかと思っちゃう」



額に汗を浮かべたまま笑うナナは、本当にバカじゃないかと思う。



俺に気を使ってるようにも見えなくて…。



「痕が残ると思う…」

「一生消えない愛情の痕だね」



胸が苦しい。



俺、ナナを愛してよかった…。


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