狐と嫁と溺愛と
強い痛み止めの薬を飲ませたからか、そのまま笑って眠りに落ちたナナを抱きしめ、俺も眠る。



「なにが…あったんですか…?」

「んっ…?」

「なぜゴミ箱に注射器や血の付いたガーゼがこんなにあるんですか‼︎」



俺を起こしにきた高島が青い顔をしている。



説明するのが面倒だな…。



「ちょっとハードなことしたらナナの脇腹から血が出てさ、先生に縫ってもらった」

「はぁっ⁉︎」

「まぁまぁ、ナナはしばらく安静にさせといて。さぁ、俺は仕事だ」



怒ってる高島は、いつもの高島ではなくて。



きっとナナを大事にしてるからだろう。



いつもならこんな態度、絶対俺に取らない。



「ナナ様をなんだと思ってるんですかっ‼︎前々から当主様はナナ様にご無体なことばかりして…心配していたんですよ‼︎」

「ん〜、もうしないよぉ〜…」

「ちゃんと聞いてます⁉︎」

「聞いてます…」



今までになく怒られた。


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