狐と嫁と溺愛と
なんて冷たい目をしてるんだろう。



同じ妖でも、こんなにも違う。



やっぱり、大河さんは暖かいんだね…。



「痛いんだけど」

「お前、俺が怖くねぇのか?この期に及んで睨んでくるとは…肝が座ってんな」

「殺したいならさっさとやれ」

「くっ、はははっ‼︎スゲー女だ‼︎鬼の姐さんと五分じゃねぇか⁉︎」



笑い出したアズマに少しだけどホッとした。



のに。



「殺さねぇ程度に遊んでやるからよ」



また飛んできた手のひらを思い切り受け止める頰。



歯を食いしばってないと、口の中を切ってしまうらしく、タラリと唇の端から血が流れてきた。



「可哀想なやつ」



そう言って鳩尾にグーが入った。



「かはっ…」

「寝るなよ?つまんねぇからな」


そんなの、ムリだ。



途絶えた意識に感謝した。



痛いのは…イヤだ…。



気を失ってどれくらい経ったかわからない。



すごい音が聞こえる…。



薄っすら開けた目は、いつもの視界の半分。



顔が腫れてるのか、目が開かない…。



お腹、痛いよ…。


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