狐と嫁と溺愛と
ワイワイと準備をして、やっと文化祭が始まって。



保護者や他校の生徒がわんさか来る中、あたしはお店の後ろでひたすら粉を混ぜる。



「離れちゃヤダよ?」



金次くんにそう言われ、離れられずにいます。



お昼時、ひたすらたこ焼きを焼くイケメン達を見てたら、お腹がすいてきた。



「金次くん、なんか買ってきてもいい?」

「えっ、まだダメ。休憩になったら一緒に行くから」



あたしが攫われたことに対して、罪悪感を感じている金次くんに、これ以上ワガママは言えなかった。



仕方なく、また粉を混ぜる。



まぁ、意味もなく混ぜてるだけなんだよ。



その時だった。



「俺と一緒に行こう、ナナ」

「…………⁉︎」



誰⁉︎



今の声、大河さんの声…。



でも、店の前に立ってるのは、私服姿の若い男の子。



長めの髪や、優しい目は大河さんなのに、あたし達と同じくらい若い見た目。



大河さんじゃない…?

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