冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


「夏希さん、良くわかりましたね。ここ!」


「えーーー?!進藤?!」


「はい?」


「し、進藤、メガネは? 何その格好?」


「え?運動するときはコンタクトなんですけど、メガネ危ないし。
格好は…普通に運動する格好ですけど…」


コイツ、無駄にイケメンじゃん。
あれ?良く見ると背も高いし、
スーツ着てる時には気が付かなかったけど、案外、筋肉質なの?


私、今までなにを見たんだろうか…
いや、見てなかったんだ。なにも。
だって進藤は話しやすくて気の合う、ただの後輩だと思っていたから。



「もう少しで終わるんですけど、あの木陰で待ってて下さい。
夏希さん、日に焼けるの異常に嫌がるでしょ?」



「うん…」

と言うか、さっきから視線が痛い。
その視線の先を見ると、女性が二人、こっちをじっと見ている。
困ったな。この感じ、女性特有の問題が起こる予感。




「進藤…私、駅前のカフェで待ってようか?」




「えっ?暑いですか?あと少しだし、終わったら、サッとシャワー浴びちゃいますから。
あ、クラブハウスで待っててもらっても大丈夫ですよ。」

と、クラブハウスを指差してる。
そんな些細な会話をしている時も、痛い程の視線を浴びてしまった。




「うん、じゃ、クラブハウスにいようかな。ごゆっくり!」

と、訳もわからない言葉を発し、その場から離れようとした。




「終わったら、速攻、出掛ける準備しますからー。」


進藤は大きな声を張り上げ、満面の笑みで手を振ってる。
私は振り向かずにスタスタと走って行った。
なんだかスゴく視線を感じてる。
居心地が悪いのと恥ずかしいのとでいたたまれない気持ちになった。







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